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人体では消化できない油をもつバラムツ

たっぷり脂の乗ったお刺身は、お寿司屋さんに行ったら誰もが食べたくなるものです。とはいえ、上級の大トロを心行くまで楽しむのには、かなりのお値段がかかります。たっぷり脂の乗ったお刺身を安価で楽しむ方法は、他にないのでしょうか?

実は、脂がたっぷり乗った深海魚として有名なバラムツは、"全身大トロ"と呼ばれるほど、筋肉内に大量の脂を含んでいるのだとか……。しかし、そんなバラムツが市場に出回らないのには、あるワケがありました。今回は、ギリギリ食べられるけれどある意味危険な魚、バラムツをご紹介します。

バラムツってどんな魚?

バラムツは、スズキ目サバ亜目クロタチカマス科の深海魚です。数100メートルほどの深海に生息していますが、夜間に浮上するために、よく釣りあげられます。バラムツという名前は、漢字では「薔薇鯥」と表記されます。バラムツの体の表面は、無数の薔薇の棘のような硬いウロコで覆われており、素手で触ると傷を負って手がボロボロになってしまうおそれがあるので、注意が必要です。

そんなバラムツですが、もっとも特徴的なのは、全身に豊富な脂分を含んでいるところです。赤身肉にはたっぷりと脂が含まれ、"全身大トロ"と呼ばれることもあります。しかし、ここで重要なのは、この成分が「ワックスエステル」という人体で消化できない油だということ。したがって、バラムツを大量摂取すると、消化できない油によって下痢や腹痛を起こしたり、肛門から脂が漏れ出したり、皮脂漏症を起こしたりするおそれがあります。

バラムツは1970年に食品衛生法により「食用禁止」の魚として定められました。しかし、実際には今でも地元の猟師たちの間で、量を制限しながら食べられているそうです。実質的には「販売禁止」までに留まっているのですね。自分でバラムツを釣って食べる分には問題ないということで、自ら釣りに出かける人も少なくありません。食用禁止されているにも関わらず、食べる人が後を絶たないのは、それほどまでにこの魚が美味しいからなのでしょう。

バラムツを食べるとどうなるのか

バラムツは今、自己責任で食べられています。市場に出回らないので、自分で釣って食べる以外に、手に入れる方法はありません。バラムツの肉は、マグロの大トロ以上に脂が乗って、しかもくさみがなく、美味しいそうです。もっとも人気があるのは刺身ですが、健康上の理由から、食べる枚数は5切れ前後に留めるべきだとか……。

それもそのはず、バラムツを大量に食べると、体内で消化し切れなかった油が、本人の意志とは無関係に肛門から排出されてしまうのです。もちろん、人によっては腹痛や下痢を起こすかもしれません。いくら大トロのように美味しいからといって、これではそう簡単に食べるわけにはゆきませんね。2015年に、ある中国のレストランで、バラムツを鮭と偽って提供していたことが、顧客からのクレームで明らかになる事件がありました。味には文句なしのバラムツですが、ギリギリ食べられるけれどある意味危険な魚ですね。

今回は、人体では消化できない油をもつバラムツをご紹介しました。大トロのように美味しいなら一度は食べてみたい……ですが、健康が気になる方はやはり、お金を出して大トロを食べた方が良さそうですね。